
──Z世代が本当に望むのは「優しさ」ではなく「未来」──
建設業界ではよくこう言われます。
「若い子は怒られるのが嫌で辞める」
「今の若手は優しくしないと続かない」
しかし実際にZ世代(10〜20代後半)に話を聞くと、
そこにはまったく別の本音があります。
それは──
若手は“怒られない環境”を求めているのではない。
“成長できる環境”を求めているだけ。
若手が本当に嫌がるのは「怒られること」ではなく、
怒られる理由が分からないこと。
成長の道筋が見えないこと。
自分の成長が評価されないこと。
つまり、
“丁寧に扱われること”より
“未来が見えること”のほうが重要なのです。
本コラムでは、若手が「成長できる環境」を求める理由と、
建設業界が若手に選ばれるための環境づくりについて解説します。
1. 若手は「怒られたくない」のではなく「理不尽が嫌」なだけ
Z世代は、過度に繊細なのではありません。
●感情的に怒鳴られる
●何が悪いか説明されない
●やり方も教えられず怒られる
●聞けばいいのか、黙ればいいのか分からない
こういった “理不尽さ” が苦手なのです。
逆に、
・理由を教えてくれる
・次どうするかを示してくれる
・できたことを認めてくれる
このような“成長につながる指摘”には
驚くほど前向きに反応します。
つまり若手は、
怒られること自体は全く嫌ではない。
むしろ成長のためなら受け入れる。
本当の問題は「怒られ方」にあります。
2. 若手は“挑戦できる環境”を選ぶ
Z世代は
「一生この仕事を続ける」と決めているわけではありません。
だからこそ、
●今の仕事でどれだけ成長できるか
●半年後・1年後にどうなれるか
●ここで働く価値があるか
を非常に重視します。
つまり、
“未来が描けるかどうか”が、会社選びの基準になっている。
だからこそ若手は、
怒られない環境よりも
成長チャレンジを与えてくれる環境 を好むのです。
3. 仕事に“意味”が説明される会社は若手が辞めない
Z世代の特徴は、
「意味のない仕事」を嫌うこと。
たとえば建設現場でよくある、
・言われたとおりに材料を運ぶ
・とりあえず片付けをする
・なぜ必要かは教えてもらえない
これでは若手は続きません。
しかし、
「この段取りが後の作業の効率に影響する」
「ここで精度を出せると、仕上げが楽になる」
と “仕事の意味” を教えるだけで、
若手は格段に意欲的になります。
若手は、
怒られないことよりも
自分の仕事がどんな価値を生むのかを知りたい のです。
4. 若手は“成長が見える環境”を求めている
Z世代が最も求めているのは、
成長の可視化(見える化)
です。
具体的には、
・1ヶ月でできるようになる作業
・3ヶ月で任せてもらえる仕事
・半年後の評価ポイント
・技術が身についた時の給料モデル
これらが明確な会社は
若手が辞めません。
逆に、
「まずは下積み」
「見て覚えろ」
「そのうち分かる」
このような環境では
Z世代は迷いが生まれます。
つまり、
“成長の道筋があるかどうか”が、若手が続く最大の理由。
5. 若手は“フィードバック文化”のある会社を好む
若手が評価するのは、
優しい職場ではなく、
●良かった点を伝えてくれる
●改善点を具体的に教えてくれる
●すぐにアドバイスをくれる
こうした
フィードバックのある環境。
建設業の現場では、
「できて当たり前」「褒める文化がない」
という風潮がまだ強く残っています。
しかし若手は、
何が良くて何が悪いかを知りたいだけなのです。
その情報が成長につながるから。
怒られないことよりも
“成長の実感”を求めるのは、
そのためです。
6. 若手は“応援されている”と感じると急速に伸びる
Z世代はメンタルが弱いのではなく、
“応援される経験”がとても強いエネルギーになります。
例えば、
「昨日より早くできてるやん」
「道具の扱い上手なってきたな」
「もうこの作業任せられるで」
たった一言で、
若手は格段にパフォーマンスが上がります。
逆に、
・無言
・見て見ぬふり
・成長に気づかない
これは若手が最も嫌う“無関心”です。
怒られるよりも、
評価されないほうが若手は辞める のです。
7. 結論:若手は“優しさ”ではなく“未来”を求めている
最後に結論です。
若手が求めているのは、
怒られない環境ではなく、成長が実感できる環境。
そのために必要なのは…
【若手が求める職場の条件】
✔ 理不尽に怒られない
✔ 成長ステップが見える
✔ 仕事の意味を教えてくれる
✔ フィードバックがある
✔ 応援されている実感がある
✔ チャレンジをさせてくれる
若手は決して弱くありません。
むしろ、
「成長のためなら厳しさも受け入れる」強さを持っています。
建設業界が若手の価値観を理解し、
“成長を支援する環境”を作ることができれば、
若手は必ず定着し、必ず伸びます。

