
──倒産の多くは“経営”ではなく“現場”で起きている──
建設会社の倒産理由として一般に挙げられるのは、
・資金繰りの悪化
・受注減
・価格競争
・景気動向
・取引先の倒産
などが知られています。
しかし実際の現場を見ていくと、
建設会社が潰れる原因の 7割以上は“人材に起因する問題” に集約されます。
つまり倒産は、
外部要因よりも 内部の“人”が原因で起こることが圧倒的に多い のです。
なぜ人材が、会社の生死をここまで左右するのか?
本コラムでは“人材が会社を潰す仕組み”を徹底的に紐解きます。
1. 建設業は“人依存型産業”だからこそ、人材が最大のリスクになる
建設業の本質は“人が作る産業”です。
・自動化が進まない
・作業が属人的
・現場の判断が品質を左右する
・人の技術・段取り・経験が成果を決める
つまり、
建設業は製造業のように“機械で品質を均一化できない”。
だからこそ、
人材の質が企業の質そのものになる。
そして、人材が不安定になると
会社全体も一気に不安定になります。
2. 建設会社を潰す“人材由来の7つの構造リスク”
倒産を引き起こす“人材リスク”は、大きく次の7つに分けられます。
① 人手不足が続き、受注を断らざるを得なくなる
職人不足が続くと、
・仕事を取りたくても受けられない
・忙しいのに利益が出ない
・現場を回せず信用を失う
つまり、売上が立たない構造に落ちる。
受注を断る状態が続くと、
会社の体力は一気に失われます。
② 中核人材の退職で“組織が崩壊”する
建設業は特に
“キーマン依存”が強い業界です。
・現場をまとめる職長
・取引先をつないでいる中堅
・多能工として重宝されているベテラン
こうした人材が抜けると
一気に現場が回らなくなる。
最悪の場合、
取引先からの信頼まで失われ、
連鎖的に売上が落ち込みます。
③ 若手が定着せず、成長サイクルが止まる
若手が育たない会社は、
未来がありません。
・教育ができない
・怒号・放置・属人的な指導
・会社の将来像が見えない
こうした要因で若手が辞めると、
“経験者だけの老朽化組織” になります。
この構造になると、
5〜10年後にほぼ確実に会社が傾きます。
④ 組織がギスギスすると“事故とトラブル”が増える
人間関係の悪化は
建設業では致命的。
・声をかけない
・協力しない
・注意しない
・情報共有が途切れる
これらは事故の原因になり、
事故が起きれば、
・工期遅延
・損害賠償
・取引停止
と、会社の信用を一気に揺るがします。
⑤ 採用ができない会社は“利益の出しようがない”
建設業の利益構造は非常にシンプル。
「人がいなければ売上が上がらない」
採用が弱い会社は、
・忙しいのに利益が出ない
・忙しいのに未来がない
・忙しいのに組織が回らない
という“負のスパイラル”に陥ります。
この状態が3〜5年続くと、
会社は確実に衰退します。
⑥ 取引先との信頼は“人”によって作られ、“人”によって壊れる
建設業の信用は、
会社ではなく “現場にいる個人” に紐づきます。
・対応が悪い
・約束を守らない
・現場マナーが悪い
・不誠実な振る舞い
たった一人の態度で
取引先との関係が壊れることも珍しくありません。
信用が切れると、
売上の柱が簡単に折れます。
⑦ 経営者が“人材に時間を割けない”と企業力が落ちる
職人不足の会社ほど、
社長が現場に出てしまう。
すると、
・採用ができない
・育成ができない
・評価制度を作れない
・組織づくりが進まない
という“経営が回らない状態”になる。
結果として、
人材問題が加速し、
会社が弱体化していきます。
3. では逆に、人材が安定すると何が起きるのか?
人材が安定すると、
すべてが好循環に変わります。
✔ 仕事を断らなくて良くなる
✔ 品質が安定し、信頼が積み上がる
✔ 取引先が増える
✔ 若手が育ち、未来ができる
✔ 組織が強くなる
✔ 採用が簡単になる
✔ 経営者が“会社づくり”に集中できる
会社の成長は、
制度でも仕組みでもなく “人材の安定”が最も強い土台 です。
4. 建設会社がまず取り組むべき“人材安定の3本柱”
倒産リスクの7割が人材にあるなら、
やるべきことも明確です。
① 採用の仕組みをつくる(採れない会社は生き残れない)
・採用ブランドの構築
・SNS・動画での発信
・求人票の改善
・スカウト活用
採用を“運任せ”にすると会社は傾きます。
② 定着の仕組みをつくる(辞めさせない環境づくり)
・人間関係の改善
・教育制度の整備
・若手が成長できる仕組み
・キャリアパスの設計
定着率が上がると、
会社は一気に強くなります。
③ 育成の仕組みをつくる(現場力は教育で作られる)
・先輩の教え方の統一
・小さな成功体験を積ませる
・段取り力・コミュニケーション力の強化
・評価制度と連動させる
育成は“利益を生む投資”です。
5. 結論:建設会社を潰すのは“不況”ではなく“人材の弱体化”である
どれだけ景気が良くても、
人材が弱れば会社は倒れます。
どれだけ景気が悪くても、
人材が強ければ会社は生き残ります。
建設会社の倒産原因の7割が人材であるというのは、
決して誇張ではありません。
人材こそが、
建設会社の 最大の資産であり、最大のリスクでもある。
だからこそ企業が向き合うべきは、
「どう売るか」ではなく「どう人を確保し育てるか」。
人材に向き合える会社だけが、
この先の厳しい建設市場でも
“生き残り、伸びる会社”となるのです。

