
「若い職人を採用したい」
建設会社の経営者から、非常によく聞く言葉です。
将来を考えれば、20代・30代の若手を採用し、技術を継承していきたい。できれば長く働いて、将来的には会社の中心人物になってほしい。
しかし、求人を出しても若手から応募が来ない。
そこで、
「給料をもっと上げないとダメなのか」
「最近の若者は建設業をやりたがらない」
「楽な仕事にばかり流れている」
と考えてしまう会社も少なくありません。
もちろん、給与は重要ですし、建設業そのものを志望する若者が減っているという構造的な問題もあります。
しかし、本当にそれだけなのでしょうか。
若手職人が会社を選ぶ基準は、以前とは大きく変わっています。
これから若手を採用したいのであれば、まず「若手が何を見て会社を選んでいるのか」を理解する必要があります。
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当然ながら「給与」は見ている
まず大前提として、若手も給与をしっかり見ています。
「若い人はお金より休みを重視する」と言われることもありますが、給与が重要ではないという意味ではありません。
むしろ物価が上がる中で、
「この給料で生活できるのか」
「頑張ればどこまで給料が上がるのか」
という点は重要な判断材料です。
ただし、ここでポイントになるのが、単純なスタート給与だけではないということです。
例えば、
「未経験 月給25万円~」
だけでは、その後が分かりません。
3年後はいくらになるのか。
資格を取ったら上がるのか。
仕事を覚えれば評価されるのか。
職長になったらどれくらいもらえるのか。
若手にとって重要なのは、「今いくらもらえるか」と同時に「この会社で成長したらどうなるのか」です。
「ちゃんと休めるか」は重要な判断材料
若手採用で避けて通れないのが休日です。
「昔は日曜日だけ休みでも普通だった」
「若いうちは働いて覚えるものだ」
という考え方が建設業界に残っている会社もあるでしょう。
しかし、若い世代に昔の常識をそのまま当てはめるのは難しくなっています。
友人との時間、恋人や家族との時間、趣味の時間など、仕事以外の生活も大切にしたいと考える人は少なくありません。
だからといって、必ずしも「とにかく休みが多ければいい」という話ではありません。
大切なのは、
年間休日は何日なのか。
土曜日はどれくらい休めるのか。
有給休暇は取得できるのか。
休日出勤した場合はどうなるのか。
といったことが明確になっていることです。
「現場による」
「忙しくなければ休める」
ではなく、できるだけ具体的に伝えることが安心感につながります。
若手が意外と見ている「人間関係」
給与や休日と同じくらい重要なのが、職場の人間関係です。
特に未経験で建設業界に入る若者にとって、
「怖い先輩がいるのではないか」
「怒鳴られるのではないか」
「失敗したら何を言われるのだろう」
という不安は非常に大きなものです。
建設業界には、今でも「見て覚えろ」「仕事は盗め」という文化が残っている現場があります。
もちろん、現場でしか学べない技術はたくさんあります。
しかし、それと「教えないこと」は別です。
若手が知りたいのは、
「未経験でも本当に大丈夫なのか」
「誰が仕事を教えてくれるのか」
「どんな先輩と働くのか」
ということです。
だからこそ、求人広告に社員の写真を載せたり、若手社員へのインタビューを掲載したり、SNSや動画で普段の雰囲気を見せたりすることには大きな意味があります。
自分が成長できる会社なのか
若手ほど将来への不安を持っています。
今は未経験でも、
「5年後、自分は何ができるようになっているのか」
「手に職はつくのか」
「資格は取れるのか」
「将来も食べていける技術なのか」
と考えています。
ここは建設業界にとって、大きな強みにできる部分です。
建設の仕事には、経験を積み、技術を身につけ、資格を取得することで市場価値を高められる職種が数多くあります。
しかし、その魅力を企業側が十分に伝えられていないケースがあります。
「手に職がつきます」
だけではなく、
1年目はこの仕事を覚える。
3年程度でここまでできるようになる。
資格取得を会社が支援する。
将来的には職長を目指せる。
というように、成長の道筋を具体的に見せる。
そうすることで、若手は「この会社に入ったあとの自分」を想像できます。
求人を見たあとに「会社」を見ている
今の若い世代にとって、スマートフォンで会社を調べることは当たり前です。
求人サイトで会社を知ったあと、そのまま応募するとは限りません。
会社名を検索する。
ホームページを見る。
Googleの情報を見る。
SNSを探す。
動画があれば見る。
つまり求人広告は、応募への「入口」にすぎないのです。
そこでホームページが何年も更新されていなかったり、働いている人の顔がまったく見えなかったり、会社について検索してもほとんど情報が出てこなかったりすると、不安を感じる可能性があります。
反対に、
現場で働く社員。
社長の考え方。
会社の日常。
施工している現場。
社員同士の雰囲気。
こうしたものが見える会社は、安心感を与えやすくなります。
採用活動は求人広告だけでは完結しません。
会社がインターネット上でどう見えているかまで含めて採用活動なのです。
若手ほど「ちゃんと評価してもらえるか」を見ている
もう一つ重要なのが評価です。
若手からすれば、
「頑張って仕事を覚えても給料が変わらない」
「仕事ができる人もできない人も同じ」
「社長の感覚だけで給料が決まる」
という環境では、将来に希望を持ちにくくなります。
例えば、
資格を取得した。
一人で作業できるようになった。
後輩を教えられるようになった。
職長として現場を任せられるようになった。
こうした成長がきちんと評価され、給与や待遇に反映される。
その仕組みが見える会社ほど、「ここで頑張ろう」と思いやすくなります。
これからの職人採用では、勤続年数だけではなく、「何ができるようになったか」を評価する仕組みがますます重要になるでしょう。
若手が見ているのは「自分の未来」
給与、休日、人間関係、福利厚生、教育制度。
もちろん、すべて重要です。
しかし、それらを一つの言葉にまとめると、若手が見ているのは、
「この会社に入った自分は、どうなるのか」
ということではないでしょうか。
ちゃんと生活できるのか。
休みは取れるのか。
先輩とうまくやっていけるのか。
仕事を教えてもらえるのか。
技術は身につくのか。
給料は上がるのか。
10年後も働いていけるのか。
若手は求人票の向こう側にある「自分の未来」を見ています。
だからこそ、若手を採用したい会社は、
「若手募集!」
「未経験歓迎!」
「高収入可能!」
だけではなく、
「あなたがこの会社に入ったら、こんな未来があります」
というところまで伝える必要があります。
若手が来ないと嘆く前に、一度自社の求人を求職者の立場から見てみてください。
そこに給与や仕事内容だけではなく、働く人の顔や会社の雰囲気、成長の道筋、評価の仕組み、そして数年後の未来は見えているでしょうか。
若手職人から選ばれる会社になるために必要なのは、単純な条件競争だけではありません。
「ここなら自分の未来を任せられる」
そう思ってもらえる会社づくりと、その未来をきちんと伝える採用活動が、これからますます重要になっていくのではないでしょうか。
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