
「職人を採用するには、やっぱり給料を上げるしかない」
人手不足が続く建設業界では、そう考える経営者も多いのではないでしょうか。
確かに給与は重要です。
同じ仕事内容で月給30万円の会社と40万円の会社があれば、40万円の会社に興味を持つのは当然でしょう。
しかし、これからの職人採用を考えると、単純に「入社時の給与が高い」だけでは十分ではありません。
求職者が知りたいのは、
「この会社に入ったら、これから自分はどう評価されるのか」
ということです。
仕事を覚えた。
資格を取った。
一人で現場を任せられるようになった。
職長になった。
後輩を育てられるようになった。
それでも給与がほとんど変わらないのであれば、いくら入社時の条件が良くても、長く働きたい会社とは思われないかもしれません。
これからの職人採用では、「いくら払うか」と同じくらい、「何を評価して、どう給与に反映するのか」が重要になっていきます。
【PR】
「頑張ったら昇給」は評価制度ではない
建設業の求人でよく見かける言葉があります。
「頑張り次第で昇給あり」
「能力を考慮します」
「経験・スキルにより優遇」
一見すると、きちんと評価してくれそうです。
しかし求職者からすると、
「何を頑張ればいいの?」
という疑問が残ります。
例えば、
資格を取ったら上がるのか。
一人で施工できれば上がるのか。
現場を任せられれば上がるのか。
職長になれば上がるのか。
勤続年数で上がるのか。
その基準が分からなければ、将来の給与を想像できません。
評価制度とは単に「社長が頑張りを見ています」ということではありません。
何ができれば、どのように評価され、その結果どう待遇が変わるのか。
これがある程度明確になっていることが大切です。
職人の評価は「経験年数」だけでは測れない
建設業界では昔から、
「経験5年」
「職人歴10年」
といった経験年数が一つの評価基準になってきました。
もちろん経験は重要です。
しかし、同じ経験10年でも能力はまったく違います。
指示された作業を確実にできる人。
図面を見て一人で施工できる人。
材料や人員の段取りまでできる人。
職長として現場全体をまとめられる人。
元請けとの打ち合わせや若手の教育までできる人。
全員「経験10年」でも、会社に提供できる価値は違います。
だからこそ、これからの職人評価では、
「何年働いたか」から「何ができるのか」へ
視点を変えていく必要があります。
スキルを細かく分けると評価しやすくなる
では、具体的に何を評価すればいいのでしょうか。
職種によって違いますが、大きく分けるといくつかの項目が考えられます。
例えば、
施工技術。
保有資格。
図面理解。
段取り能力。
安全管理。
品質管理。
職長経験。
後輩の教育。
他業種との調整。
顧客・元請け対応。
こうした能力を細かく分けていきます。
そして、
「補助として作業できる」
「一人で施工できる」
「他の職人へ指示できる」
「現場全体を任せられる」
といったように段階を設ければ、本人にも成長が分かりやすくなります。
大切なのは、単に点数を付けることではありません。
「次に何ができるようになれば評価が上がるのか」を本人が理解できることです。
評価制度は採用にも使える
評価制度というと、入社後の人事制度だと思われがちです。
しかし実は、採用でも大きな武器になります。
例えば求人に、
A社
「経験者 月給35万円~。能力により昇給」
B社
「経験者 月給35万円~。○○ができれば月給38万円、職長として現場を任せられるようになれば40万円以上を目指せます」
と書かれていたらどうでしょうか。
B社の方が、入社後の未来を想像しやすいのではないでしょうか。
特に経験者は、
「自分の経験をちゃんと見てくれるのか」
を気にします。
資格、経験、職長能力、教育力などを具体的に評価する会社であれば、
「この会社なら自分の腕を評価してもらえそうだ」
という期待につながります。
評価制度は社員を管理する仕組みではなく、「職人を正当に評価する会社です」と伝える採用メッセージにもなるのです。
若手採用にも評価制度は効く
評価制度が重要なのは経験者だけではありません。
むしろ若手や未経験者にとっても大きな意味があります。
未経験で入社すると、最初は何もできません。
しかし、
1年目は基本作業を覚える。
次に一人でできる作業を増やす。
資格を取得する。
小さな現場を任される。
職長を目指す。
という成長の道筋が見えていれば、将来を想像できます。
そして、その成長に合わせて給与も上がる仕組みがあれば、
「頑張れば自分の待遇が良くなる」
という納得感が生まれます。
若手にとって重要なのは、最初の給料だけではありません。
「この会社に5年いたら、自分はどうなっているのか」
そこまで見せられる会社は、採用でも強くなります。
評価が曖昧だと「できる人」ほど不満を持つ
評価制度がない会社では、給与が社長や上司の感覚で決まることがあります。
「あいつは頑張っているから上げよう」
「あいつはまだ早い」
もちろん、経営者が社員一人ひとりを見て判断すること自体が悪いわけではありません。
しかし、その理由が本人に伝わっていなければ、
「なぜ自分よりあの人の方が給料が高いのか」
という不満につながります。
特に危険なのは、仕事のできる職人です。
できる仕事が増えた。
責任も増えた。
後輩も教えている。
現場も任されている。
それなのに評価が変わらなければ、
「ここで頑張っても意味がない」
と感じる可能性があります。
そして、そうした人ほど他社から見れば欲しい人材です。
評価制度は採用だけでなく、優秀な職人を会社に残すための仕組みでもあるのです。
「公平」よりも「納得できる」評価を
ここで注意したいのは、完璧な評価制度を作ろうとしすぎないことです。
職人の仕事をすべて数字で評価するのは簡単ではありません。
施工スピードだけを評価すれば品質がおろそかになるかもしれません。
売上だけでは、安全や後輩教育といった貢献を評価できません。
だからこそ、複数の項目を見る必要があります。
そして重要なのは、
「全員が完全に同じ基準で評価されている」
ということ以上に、
「なぜ自分がこの評価なのかを本人が理解できること」です。
今の評価。
評価された理由。
次のステップ。
そのために必要なスキル。
これが見えるだけでも、納得感は大きく変わります。
給与競争から「評価競争」へ
人手不足が続けば、建設会社の給与水準は今後も上がっていく可能性があります。
しかし、すべての会社が給与だけで競争し続けることには限界があります。
月給35万円を38万円にする。
他社が40万円にする。
さらに42万円にする。
これでは体力のある会社だけが有利になります。
だからこそ、これから重要になるのが、
「あなたの技術を、当社はこう評価します」
と伝えられることです。
職人一人ひとりのスキルを見て、成長を評価し、その評価を待遇へ反映する。
そして本人にも「次に何を目指せばいいのか」が分かる。
そんな会社であれば、単純な給与額だけではない魅力をつくることができます。
職人が知りたいのは「今」と「未来」
求職者が求人を見るとき、もちろん現在の給与を確認します。
しかし、本当に知りたいのはそれだけではありません。
「入社後、自分はどう評価されるのか」
「仕事を覚えたら給料は上がるのか」
「資格を取ったら評価されるのか」
「職長になったらどんな待遇になるのか」
つまり、今の給与と同時に、自分の未来を見ているのです。
これからの職人採用で必要なのは、
「月給○万円出します」
だけではありません。
「あなたが成長した分だけ、きちんと評価します」
と具体的に示せる会社になること。
給与の高さだけで人を集める会社から、職人の価値を正当に評価することで選ばれる会社へ。
建設業界の採用競争が激しくなるほど、そんな「評価制度」が会社の大きな採用力になっていくのではないでしょうか。
【PR】

