求人ノウハウ都市集中と地方衰退──建設業が迎える二極化の時代 2025.12.20

 

──「人が足りない都市」と「仕事が足りない地方」が同時に起きる未来──

建設業はこれから、
かつてないほど大きな二極化の波に直面します。

それは、

都市部は「人が足りない」

地方は「仕事が足りない」

という、相反する課題が同時に進行するという現象です。

人口減少、都市集中、地方の過疎化、インフラ老朽化──
これらすべてが複雑に絡み合い、
建設業界の構造自体が大きく変わろうとしています。

本コラムでは、
都市と地方の明暗がなぜここまで分かれ始めているのか、
そして企業がどのようにこの二極化時代と向き合うべきかを
深く解説します。

 

1. 都市部:仕事は増えるのに人が圧倒的に足りない

まず都市部。
東京・大阪・名古屋・福岡などの主要都市では、

・再開発

・高層ビル建設

・交通インフラ整備

・住宅需要

・商業施設の新設

・IR計画

など、建設需要が高い状態が続いています。

にもかかわらず、深刻なのは

人材の確保がますます難しくなっていること。

都市部は給与水準が高く、
仕事量も安定しているにも関わらず、

若者が建設業を避ける

技能者の高齢化

外国人材の奪い合い

大手ゼネコンに人が集中

といった理由から、中小企業は採用に苦戦。

さらに都市部は街が大きく動き続けるため、

・工期短縮

・品質要求の高度化

・多様な職種の連携

・テナント入れ替えに伴う工事の増加

など、仕事のスピードと難易度が年々上がっています。

つまり都市部の問題は、

「仕事が多すぎて、回せる人がいない」

という人材危機なのです。

 

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2. 地方:人はいるのに仕事が減少し続ける

一方、地方では真逆の問題が起きています。

・人口減少

・若者流出

・住宅着工数の減少

・商業施設の縮小

・企業の撤退

これにより、
地方の工事量は年々減っていきます。

地方の建設会社は、

技術力はある

人員も揃っている

地域での信頼も厚い

にもかかわらず、

「そもそも仕事がない」

という状況に追い込まれています。

さらに、地方の建設需要は

・公共工事

・老朽化インフラの維持管理

に依存する割合が高く、
景気や政策によって上下しやすいというリスクも抱えています。

地方の課題は、

「仕事量の減少」×「市場の縮小」

という深刻な構造問題です。

 

3. この二極化は人口構造がつくり出す必然である

都市集中と地方衰退は偶然ではなく、
人口動態がつくり出す必然的な流れです。

・若者は都市に集まる

・都市は再開発が続く

・地方は高齢化で住宅需要が減る

・投資が都市に集まり、地方は縮小

そして建設業も
この人口移動の影響を強く受けます。

 

4. 二極化によって起きる構造的な3つの未来

これから建設業界には、
次の3つの大きな変化が訪れます。

都市部は採用できる会社しか生き残れない世界になる

都市では、
職人の奪い合いが激化します。

・給与競争

・条件競争

・人材紹介費の高騰

・外国人材の採用難

特に中小企業は、
採用ブランディングが弱いと
完全に人材が確保できなくなる。

つまり都市部は、

「人材確保力が生存条件になる」

という世界です。

 

地方は経営の多角化・事業転換が必須になる

地方で勝ち残るためには、

・リフォーム

・メンテナンス

・不動産管理

・空き家再生

・地域密着サービス

・新エネルギー関連

など、事業の幅を広げる必要があります。

地方の未来は、

「総合力のある地域企業」だけが残る。

都市×地方の連携モデルが増える

都市部は仕事が多いが人が足りない。
地方は人がいるが仕事が足りない。

この構造が進むと、

・都市部が地方企業と協業

・地方企業が都市の仕事を請け負う

・技術応援の流動化

・ITによる遠隔管理の普及

など、地域を超えた連携が進んでいく。

これは
中小企業にとって大きなチャンスです。

 

5. “採用の地域差も二極化する

採用における都市と地方の差も
これからさらに広がります。

都市:応募が集まらない

理由同業他社が多く、若者が少ない
求められる対応採用ブランディング・環境整備・SNS戦略

地方:応募は来るが、定着しない

理由キャリアの先が見えない・給与が伸びにくい
求められる対応教育制度・評価制度の整備

つまり、

都市は集める力、地方は育てる力が勝負。

 

6. 建設企業が今から取り組むべき戦略はこれだ

都市と地方、どちらの企業にも共通する
二極化時代を生き抜く戦略があります。

自社の強みを言語化し、採用ブランドを確立する

・給与

・教育

・人間関係

・会社の理念

・働く雰囲気

これらを見える化できる会社が勝つ。

② SNS・動画で会社の空気を伝える

若者採用は
企業の雰囲気が9割。

都市部も地方も、
SNS
の活用は必須です。

多能工・中堅層の育成で現場力を底上げする

都市人が足りないから効率が求められる
地方少人数で回す現場が増える

どちらも多能工化が必須になります。

事業ポートフォリオを広げる(特に地方)

仕事が減る市場に依存していては未来がありません。

・リフォーム

・インフラ維持

・空き家事業

・エネルギー関連

・地域サービス

こうした事業へのシフトが重要です。

 

7. 結論:建設業は二極化を前提にした戦略が必要な時代へ

都市は仕事が多く、人がいない。
地方は人がいても、仕事がない。

この二極化は
今後さらに強まっていきます。

この構造の中で生き残る会社は、

自社の強みを明確化し

採用ブランドをつくり

人材を育て

事業の幅を広げ

地域を越えた連携を進める

そんな変化に強い会社です。

二極化は危機でもありますが、
戦略を持つ会社にはチャンスが広がる時代でもあります。

 

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