
──「ありがとう」の数が、定着率を決めている──
建設業は「若手が定着しない」「続かない」という課題を長年抱えています。
・3ヶ月で辞める
・半年で姿を消す
・一度辞めたら戻ってこない
・メンタルが持たない
・怖い・怒られるイメージ
こうした声はどの現場でも聞かれるほど。
しかしその一方で、驚くほど若手が辞めない現場も存在します。
その共通点は、
技術力でも給与でも福利厚生でもありません。
“承認の文化”があることです。
承認とは、
「認める」「気づく」「言葉にする」という行為。
小さな承認が積み重なる環境は、
若手が伸び、続き、成長する“最強の現場”になります。
本コラムでは、
若手が辞めない現場が必ずやっている
“承認の文化”の仕組みを、深くわかりやすく解説します。
1. 若手は「怒られる」から辞めるのではない
多くの企業が誤解しています。
●若手は怒られるから辞める
●作業がきついから辞める
●給料が低いから辞める
もちろん要因の一つですが、
本質はそこではありません。
若手が辞める最大の理由は、
「自分が役に立てている実感がない」
「自分が必要とされていないと感じる」
ことです。
建設業の若手に聞くと、
「自分だけ出来ていない気がする」
「怒られるのは良いが、褒められることが全然ない」
「何をやっても認められない」
と口を揃えます。
つまり、辞める理由は
怒られたからではなく “存在が承認されていないから”。
承認の文化がある現場は、
若手の心をしっかり支えます。
2. なぜ“承認”が若手の定着率を劇的に上げるのか?
理由は3つあります。
① 安心感が生まれる(心理的安全性)
承認とは、
「ちゃんと見ているよ」というサインです。
・作業の進歩
・小さな努力
・気遣い
・挨拶
・変化
これらを認められると、
若手は「ここにいても大丈夫だ」と感じます。
心理的安全性が高い現場ほど、
離職率は低くなるという研究もあります。
② 自信がつく(成長実感)
若手は自分の作業が
“正しいのか、間違っているのか”がわかりません。
そこで承認されると、
「これで合ってるんだ」
「少しは力になれているんだ」
という小さな自信が芽生えます。
自信がある若手は、
困難にぶつかっても辞めません。
③ モチベーションが続く(存在価値の確認)
若手が辞めるのは、
仕事の意味が見えなくなった時。
承認は、
・役に立っている
・見てもらえている
・仲間の一員になれている
という“存在価値の実感”を与えます。
存在価値がある環境では、
人は簡単には離れません。
3. 若手が辞めない現場がやっている“承認の5つの型”
承認は「褒める」とは違います。
承認には、大きく5つの型があります。
① 行動承認(行動そのものを認める)
例)
「お、早く来たな」
「その片付け助かった」
行動を認めることで、
「理解されている」と感じます。
② 結果承認(成果を認める)
例)
「昨日より綺麗に仕上がってる」
「段取りがよかったぞ」
若手は成果が見えないので、
結果を言語化して認めることが大切です。
③ 継続承認(続けている努力を認める)
例)
「毎日ちゃんとメモ取ってるの偉いな」
「継続してるのがすごい」
継続を認められると、成長が定着します。
④ 存在承認(その人自身を認める)
例)
「お前がいて助かってるよ」
「お前の雰囲気が現場を明るくしてる」
存在そのものを承認されると、
辞める理由がなくなります。
⑤ 関係承認(つながりを認める)
例)
「相談してくれたの嬉しいわ」
「お前の意見助かった」
関係が深まると、
若手の定着率が一気に上がります。
4. 承認は“自然発生しない”。構造として設計すべき理由
承認は、文化として意図的に作らなければ根づきません。
なぜなら建設現場は、
・忙しい
・余裕がない
・言葉が少ない
・感覚で動く人が多い
という特徴があり、
放っておくと“承認ゼロの現場”になりやすいから。
だからこそ会社として、
承認を“仕組み化”する必要があります。
5. 承認の文化を作る具体施策(現場で実践できるもの)
① 朝礼や終礼で「ひとこと承認タイム」を設ける
・誰かの良かった点
・助かった行動
・小さな成長
これを毎日一言ずつ言うだけで
職場の空気が激変します。
② 先輩が1日1回は若手を承認する“ルール”をつくる
強制ではなく“文化のきっかけ”として
導入する企業も増えています。
③ 現場監督が“変化に必ず声をかける”習慣を持つ
例)
「今日動き良くなったな」
「昨日より早いぞ」
現場監督の一言は強烈な承認になります。
④ ミーティングで“承認の共有”を行う
毎週1回でも十分効果があります。
⑤ 承認マニュアルを作成する(新人研修の一部にする)
承認を“技術”として教える企業は、
離職率が圧倒的に低い傾向があります。
6. 承認は“甘やかし”ではない。プロを育てるための技術である
承認に抵抗を持つ人もいます。
「褒める必要はない」
「仕事なんだからやって当然」
「甘やかすと育たない」
しかし承認は甘やかしではなく
“成長を加速させる技術”です。
承認によって、
・指摘が受け入れられやすくなる
・素直に学ぶ姿勢が生まれる
・主体的に動くようになる
という圧倒的な効果があります。
承認はプロの育成に欠かせない
“仕組みとしてのコミュニケーション” なのです。
7. 結論:承認文化がある現場は、若手が辞めない
若手が辞めない現場の共通点は、
文化や制度や管理ではなく
「人が人を認める風土」
があること。
承認文化を持つ現場は、例外なく、
✔ 空気が良い
✔ 若手が育つ
✔ ベテランが優しい
✔ 離職率が低い
✔ 応募が増える
✔ 組織が強くなる
承認は“言葉の習慣”であり、
“人を育てる環境づくり”そのもの。
若手に選ばれ、
長く働きたいと思われる現場は
承認の文化を持った現場です。
承認の文化こそ、
建設業における 最強の定着戦略 なのです。

