
「求人を出しているのに、まったく応募が来ない」
これは今、多くの建設会社が抱えている共通の悩みではないでしょうか。
求人サイトに掲載しても反応がない。条件を少し良くしても応募が増えない。ようやく応募が来たと思ったら連絡が取れない。
「最近の若い人は建設業に興味がない」
「そもそも職人になりたい人がいない」
そう考えてしまう経営者も少なくありません。
もちろん、建設業界全体の人手不足や若年層の減少も大きな要因です。しかし、本当にそれだけなのでしょうか。
実は現在の職人採用では、もっと根本的な変化が起きています。
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「求人を出せば人が来る」時代ではなくなった
かつての採用活動は比較的シンプルでした。
求人誌や求人サイトに募集を掲載し、「給与」「勤務地」「仕事内容」を載せておけば、仕事を探している人から応募が入る。
つまり企業は、求人を出して「待つ」ことが基本でした。
しかし現在は、この方法だけでは採用が難しくなっています。
最大の理由は、求職者よりも求人企業の方が多い市場になっているからです。
建設会社だけでなく、物流、製造、警備、介護、飲食など、多くの業界が人材を求めています。
一人の求職者に対して、複数の企業が「うちに来てほしい」と競争している状態なのです。
その中で、
「未経験歓迎」
「経験者優遇」
「アットホームな職場です」
「頑張り次第で昇給あり」
といった、どの会社にも書かれている言葉だけで選んでもらうことは難しくなっています。
求職者は「条件」だけを見ているわけではない
では、給与を上げれば応募は増えるのでしょうか。
確かに給与は重要です。
しかし、現在の求職者が確認しているのは給与だけではありません。
「どんな人が働いているのか」
「社長はどんな人なのか」
「職場の雰囲気はどうなのか」
「休みは取れるのか」
「残業はどれくらいあるのか」
「自分の技術を評価してもらえるのか」
「5年後、10年後にどんな働き方ができるのか」
こうした情報まで確認して会社を比較する人が増えています。
求人を見た後に会社名を検索し、ホームページを見る。InstagramやTikTok、YouTubeなどを確認する。
つまり、求人広告だけではなく「会社そのもの」が見られているのです。
給与が悪くないのに応募が来ない会社は、条件ではなく「会社の魅力が求職者に伝わっていない」可能性があります。
「経験者が欲しい」が採用をさらに難しくする
建設会社からよく聞くのが、
「できれば経験者が欲しい」
という言葉です。
会社としては当然でしょう。
教育する必要がなく、入社後すぐ現場で活躍してくれる人材は魅力的です。
しかし、ここに大きな問題があります。
優秀な経験者ほど、現在の会社ですでに働いている可能性が高いのです。
つまり、毎日のように求人サイトを見ているとは限りません。
「今すぐ転職したい」という顕在的な求職者だけを対象にすると、そもそもの母数が非常に小さくなってしまいます。
一方で、
「もっと給料が上がるなら話を聞いてみたい」
「今の会社に大きな不満はないけど、いい会社があれば興味はある」
「自分の経験なら他社ではどれくらい評価されるのだろう」
と考えている職人は存在します。
こうした人たちは「潜在転職層」です。
これからの職人採用では、この層へどうアプローチするかが重要になっていくでしょう。
応募が来ないから求人媒体を変える、では解決しない
応募が来ないと、
「この求人サイトはダメだ」
「別の媒体に掲載してみよう」
と考えがちです。
しかし、その前に確認してほしいことがあります。
仕事内容は具体的に書かれているか。給与モデルは分かりやすいか。休日や残業について説明されているか。写真から職場の雰囲気が伝わるか。入社後のキャリアが想像できるか。そして、他社ではなく「この会社で働く理由」が伝わっているか。
ここが変わらなければ、掲載する媒体を変えても同じ結果になる可能性があります。
求人広告とは、単なる募集要項ではありません。
求職者に会社を知ってもらうための「営業資料」でもあるのです。
商品を売るときに商品の魅力を説明するように、採用でも会社の魅力を伝えなければ選んでもらえません。
これからは「待つ採用」だけでは足りない
そして、建設業の採用で今後さらに重要になるのが、企業側から人材を探すという考え方です。
これまでの採用は、
求人を掲載する
↓
求職者が見る
↓
応募する
↓
面接する
という流れが中心でした。
しかし、この方法では「求人を見ている人」にしか出会えません。
これからは、
「どんな経験を持っているのか」
「どんな資格を持っているのか」
「どんな仕事ができるのか」
「どんな待遇を希望しているのか」
といった情報をもとに企業側が人材を探し、
「あなたの経験を当社ではこれくらい評価します」
と直接伝える採用方法も重要になってくるでしょう。
求人を出して待つだけではなく、必要な人材を企業側から探しにいく。
採用の主導権そのものが変わり始めています。
採用できる会社になることが最大の対策
建設業界の人手不足が、突然解消されることは考えにくいでしょう。
だからこそ、
「人がいないから採用できない」
で終わるのではなく、
「人が少ない市場でも選ばれる会社になるにはどうすればいいか」
を考える必要があります。
給与、休日、福利厚生だけではありません。
職人をどのように評価するのか。技術を身につければどれくらい給与が上がるのか。どんなキャリアを描けるのか。会社として職人をどう大切にしているのか。
これらを整理し、そして外部へ伝えることが採用力になります。
求人を出しても応募が来ない。
その原因を「人手不足」という一言だけで片付けてしまえば、状況は変わりません。
求人の内容を変える。
会社の魅力を見える化する。
採用方法を変える。
そして、求人を見ていない潜在層にも目を向ける。
建設業の採用は今、大きな転換期を迎えています。
これから求められるのは、
「応募を待つ会社」から「人材に選ばれる会社」への変化
なのではないでしょうか。
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