
建設業界には、一つの会社で長く働き続けている職人さんがたくさんいます。
高校を卒業して入社し、そのまま10年、20年。
知人の紹介で入った会社で、ずっと働いている。
親方のもとで仕事を覚え、その会社しか経験したことがない。
一つの会社で長く働くことは、決して悪いことではありません。
信頼関係ができ、仕事にも慣れ、自分の居場所がある。長く働いているからこそ任される仕事も増えていきます。
しかし、一つだけ考えてほしいことがあります。
「今の会社しか知らない」という状態になっていないでしょうか。
今の会社が良いか悪いかではありません。
問題なのは、比較するものがないため、「今の環境が普通」だと思い込んでしまうことです。
もしかすると、それが職人としての可能性を狭めているかもしれません。
【PR】
「この業界はこんなもん」と思っていませんか?
長く同じ会社で働いていると、その会社のルールが業界全体の常識のように感じることがあります。
「職人は日曜しか休めない」
「残業代なんて出ない」
「給料はこれくらいが普通」
「資格を取っても給料は変わらない」
「仕事は見て覚えるもの」
「有給なんて使う人はいない」
本当にそうでしょうか。
もちろん会社によって事情は違います。
しかし現在は、週休2日制を取り入れている会社もあれば、残業代をきちんと支給する会社、資格取得を全面的に支援する会社、明確な評価制度を設けている会社もあります。
同じ建設業でも、会社が変われば働き方は大きく変わります。
今いる環境しか知らなければ、それを「建設業界では普通」と思ってしまいます。
しかし実際には、それは「業界の普通」ではなく「今の会社の普通」なのかもしれません。
同じ仕事でも給料は会社によって違う
特に分かりやすいのが給与です。
同じ職種、同じような経験年数でも、会社によって給与には差があります。
なぜなら、会社ごとに評価するポイントが違うからです。
例えば、
図面が読める。
一人で現場を任せられる。
職長経験がある。
資格を持っている。
若手を教育できる。
元請けとの打ち合わせができる。
こうした能力を高く評価する会社もあれば、「長く働いているから」という勤続年数を中心に給与を決める会社もあります。
今の会社では月給35万円だったとしても、同じスキルを月給40万円、45万円で評価する会社があるかもしれません。
反対に、他社の条件を知った結果、
「意外と今の会社は恵まれているな」
と気づくこともあるでしょう。
どちらにしても、比較して初めて分かることです。
転職しなくても他社を知る意味はある
「別に会社を辞めるつもりはない」
そう思う人もいるでしょう。
それで構いません。
他社を知ることは、転職することとイコールではありません。
求人を見る。
他社の給与を調べる。
知り合いの職人から話を聞く。
どんな福利厚生があるのかを見る。
どんな評価制度があるのかを知る。
それだけでも十分です。
例えば、自分と同じ経験を持つ職人の給与相場を知れば、自分の現在地が分かります。
他社の資格手当を知れば、
「この資格を取れば市場価値が上がるんだ」
という発見があるかもしれません。
他社の求人で求められているスキルを見れば、
「次はこの仕事を覚えよう」
という目標ができることもあります。
他社を知ることは、会社を辞めるためではなく、自分のキャリアを考えるための情報収集なのです。
「居心地がいい」と「成長できる」は別の話
長く同じ会社にいると、仕事にも慣れてきます。
現場の流れも分かる。
社長の考え方も分かる。
先輩や同僚とも気心が知れている。
居心地は良くなります。
それ自体は素晴らしいことです。
しかし、一度考えてみてください。
3年前と比べて、できる仕事は増えていますか?
資格は増えましたか?
給料は上がりましたか?
任される仕事の範囲は広がりましたか?
職人としての市場価値は高くなっていますか?
もし何年経っても同じ仕事を繰り返し、給与もほとんど変わっていないのであれば、少し注意が必要です。
居心地が良い環境と、自分を成長させてくれる環境は、必ずしも同じではありません。
外を知ることで「今の会社の良さ」に気づくこともある
他社を見るというと、
「転職を勧めているのか」
と思うかもしれません。
そうではありません。
むしろ外を知った結果、今の会社の良さに気づくこともあります。
他社より給与は少し低いけれど、残業がほとんどない。
休みが取りやすい。
社長が社員を大切にしてくれる。
人間関係がいい。
家から現場まで近い。
仕事が年間を通して安定している。
こうしたものは、求人票の給与額だけでは測れない価値です。
他社を知らなければ、それすら「当たり前」になってしまいます。
比較するからこそ、
「自分はこの会社が合っている」
と納得して働くことができます。
それも立派な選択です。
自分の人生を会社任せにしない
職人として働く期間は長いものです。
20代から働き始めれば、30年、40年と仕事を続ける可能性があります。
その長い時間を、
「なんとなく最初に入った会社だから」
という理由だけで過ごすのは、少しもったいないかもしれません。
会社は仕事を与えてくれます。
技術を教えてくれます。
給与も支払ってくれます。
しかし、最終的に自分の人生を決めるのは自分です。
どんな技術を身につけるのか。
どれくらい稼ぎたいのか。
どんな働き方をしたいのか。
将来、職長を目指すのか。
独立するのか。
管理側へ進むのか。
一生職人として腕を磨くのか。
自分自身で考える必要があります。
そのためには、今いる会社だけではなく、外の世界を知っておくことが大切です。
選択肢を持っている職人は強い
一番大切なのは、「転職すること」ではありません。
選択肢を持っていることです。
今の会社で頑張る。
もっと評価してくれる会社へ移る。
新しい技術を学べる会社へ行く。
職長を目指す。
独立する。
どれが正解ということではありません。
自分で選べる状態にしておくことが重要なのです。
そのためにも、自分のスキルを知る。
自分の市場価値を知る。
他社の給与や待遇を知る。
建設業界でどんな人材が求められているのかを知る。
そして、そのうえで今の会社を選ぶ。
それなら「なんとなく働き続けている」のではなく、自分の意思で今の会社にいることになります。
一つの会社で長く働くことには、大きな価値があります。
ただし、
「この会社しか知らないから、この会社にいる」
のと、
「他の選択肢も知ったうえで、この会社を選んでいる」
のでは大きく違います。
今すぐ会社を辞める必要はありません。
転職活動を始める必要もありません。
ただ、たまには外を見てみる。
他社を知る。
自分の相場を知る。
自分の可能性を知る。
それだけで、これからの職人としての働き方は変わるかもしれません。
「今の会社しか知らない」ことが、実は一番もったいない。
そうならないためにも、自分のキャリアの選択肢だけは、いつでも持っておきたいものです。
【PR】

