
建設業の求人で、よく見かける言葉があります。
「未経験歓迎!」
経験がなくても応募できる。特別な資格も必要ない。一から仕事を覚えられる。
企業側からすれば、応募のハードルを下げるための大切なメッセージです。
しかし現在、求人に「未経験歓迎」と書くだけで若者から応募が集まるかというと、そう簡単ではありません。
実際に、
「未経験歓迎にしているのに応募が来ない」
「若い人を育てたいのに、そもそも若者からの反応がない」
と悩んでいる建設会社も多いのではないでしょうか。
では、なぜ「未経験歓迎」だけでは若者に響かないのでしょうか。
その理由を考えると、これからの建設業に必要な採用のあり方が見えてきます。
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「入れる会社」ではなく「入った後」を見ている
「未経験歓迎」という言葉が伝えているのは、
「経験がなくても応募できます」
ということです。
しかし、未経験者が本当に知りたいのは、その先です。
「入社したら何をするのか」
「自分にもできる仕事なのか」
「誰が教えてくれるのか」
「どれくらいで仕事を覚えられるのか」
「怒鳴られたりしないか」
「資格は取れるのか」
「3年後、5年後にどうなっているのか」
つまり、企業側は「入口」を説明しているのに、求職者は「入社後」を知りたがっているのです。
ここに大きなズレがあります。
「未経験でも大丈夫ですよ」
だけではなく、
「未経験で入ったあなたを、どう育てるのか」
まで伝える必要があります。
「丁寧に教えます」だけでも分からない
では、
「先輩社員が丁寧に指導します」
と書けば十分でしょうか。
これも建設業の求人ではよく見かける言葉です。
しかし、求職者からすると具体性がありません。
例えば、
「入社後1カ月は先輩と一緒に現場へ行きます」
「最初は道具や材料の名前を覚えるところからスタートします」
「半年程度で基本的な作業を覚えてもらいます」
「資格取得費用は会社が全額負担します」
「3年程度で一人で現場を任せられる状態を目指します」
ここまで書かれていれば、未経験者でも入社後をイメージしやすくなります。
未経験者が不安なのは、「できないこと」そのものではありません。
できない自分が入社した後、どうなるのか分からないことなのです。
建設業に対する不安を甘く見てはいけない
建設業界で長く働いている人にとっては、現場で働くことが当たり前です。
しかし、建設業を経験したことがない若者からすると、さまざまな不安があります。
「仕事がキツそう」
「夏は暑そう」
「危険じゃないのか」
「怖い先輩がいそう」
「怒鳴られそう」
「休みが少なそう」
「昔ながらの上下関係がありそう」
実際の会社がそうでなくても、求職者側がそういうイメージを持っている可能性があります。
そこで求人に、
「未経験歓迎!やる気があればOK!」
とだけ書かれていても、不安は解消されません。
むしろ企業側から、
「夏場は空調服を支給しています」
「完全未経験で入社した20代社員も活躍しています」
「怒鳴って仕事を覚えさせるような教育はしていません」
「年間休日は○日です」
など、求職者が不安に感じそうなことに先回りして答えることが重要です。
採用では、魅力を伝えることと同じくらい、不安を取り除くことが大切なのです。
若者が見ているのは「成長した先」
もう一つ重要なのが将来性です。
若者に、
「まずは仕事を覚えてもらいます」
と伝えるだけでは十分ではありません。
仕事を覚えた先に何があるのか。
例えば、
1年目は先輩について基礎を覚える。
3年目には一人で作業できるようになる。
資格を取得すれば資格手当が付く。
5年程度で職長を目指せる。
将来的には施工管理へのキャリアもある。
こうした道筋が見えれば、
「ここで働けば手に職がつきそうだ」
と感じてもらえます。
建設業には本来、大きな強みがあります。
技術を身につける。
資格を取る。
経験を積む。
できる仕事を増やす。
それによって職人としての価値を高めていける仕事だからです。
問題は、その魅力を企業側が十分に説明できていないことです。
「手に職がつく」だけではなく、どんな技術が身につき、その結果どんな未来があるのかまで伝えていきたいところです。
「誰と働くのか」も重要な情報
若い求職者にとって、仕事内容と同じくらい気になるのが人間関係です。
特に未経験者の場合、
「自分だけ仕事ができなくて迷惑をかけないか」
「先輩とうまくやっていけるか」
という不安があります。
そこで重要になるのが「人を見せること」です。
例えば求人ページに、
20代社員の写真。
未経験入社した社員のインタビュー。
教育担当者の紹介。
社長からのメッセージ。
普段の現場風景。
などを掲載する。
SNSや動画を使って会社の日常を発信するのも一つの方法でしょう。
どんな人と働くのかが見えるだけでも、会社への心理的な距離は大きく縮まります。
求人に必要なのは「仕事内容の説明」だけではありません。
入社後の世界を見せることなのです。
「若者が来ない」で終わらせない
若者から応募が来ないと、
「最近の若者は建設業をやりたがらない」
という話になりがちです。
確かに、建設業界の若手不足という大きな問題はあります。
しかし、それだけを理由にしてしまえば採用活動は改善できません。
一度、自社の求人を若者の目線で見てみてください。
「未経験歓迎」
「経験・学歴不問」
「やる気があればOK」
それだけで、
どんな仕事なのか。
どんな人が働いているのか。
どうやって仕事を覚えるのか。
何年後に何ができるようになるのか。
どれくらい給料が上がるのか。
休みはどれくらいあるのか。
まで伝わっているでしょうか。
もし伝わっていなければ、応募が来ない原因は「若者がいないから」だけではないかもしれません。
「未経験歓迎」の次に何を伝えるか
これから若手を採用したい建設会社にとって、「未経験歓迎」は必要な言葉です。
しかし、それはゴールではありません。
あくまで入口です。
大切なのは、その後に、
「未経験のあなたを、当社ではこう育てます」
と伝えることです。
最初にどんな仕事をするのか。
誰が教えてくれるのか。
どんな資格を取れるのか。
何年くらいで一人前になれるのか。
仕事を覚えれば給料はどう変わるのか。
そして5年後、10年後にどんな職人になれるのか。
そこまで見えて初めて、若者は自分がその会社で働いている姿を想像できます。
「未経験歓迎!」
その一言だけで若者が集まった時代から、
「未経験から、どんな未来をつくれる会社なのか」を選ばれる時代へ。
これからの若手採用で問われるのは、未経験者を受け入れることではありません。
未経験者をどう育て、どんな未来を用意できるのか。
そこまで伝えられる会社が、若者から選ばれる会社になっていくのではないでしょうか。
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